「喧嘩できるうちが華だよ」
そんな言葉を聞いても、夫婦喧嘩ばかりでつらいときは、「もう喧嘩なんてしたくない」と思いますよね。
価値観をすり合わせたくて話し始めたのに、言い合いになってしまう。仲直りしたつもりでも、言われた言葉が心に残る。そんなことが何度も続けば、疲れてしまうのも無理はありません。
ただ、ここで考えてみたいのは、喧嘩がなくなったとき、二人とも安心できているのかということです。
穏やかに話せるようになったのか。それとも、どちらかが話すことを諦めたのか。同じ「喧嘩をしない夫婦」でも、その中身は違うことがあります。
一方は「平和になった」、もう一方は「諦めた」
たとえば、以前は家事の分担について何度も言い合っていた夫婦が、最近は揉めなくなったとします。
一方は「最近は何も言わないし、納得してくれたのかな」と思っている。けれど、もう一方は「伝えても変わらないから、もう言うのをやめよう」と思っているかもしれません。
同じ静かな食卓に座っていても、二人が感じていることは同じとは限りません。
もちろん、会話が少ない日があるだけで、気持ちが離れたと決めつける必要はありません。疲れていたり、落ち着いて過ごしたかったりすることもあります。
気にかけたいのは、「言わなくなったから、もう大丈夫」と、相手の気持ちを確かめずに結論づけてしまうことです。
喧嘩が終わることと、問題が解決することは違う
言い合いのあと、どちらかが謝った。翌朝には普通に挨拶した。一緒にご飯も食べた。
そうして日常に戻れたことは、大切な一歩です。でも、それだけで、きっかけになった困りごとまでなくなったとは限りません。
「言い方がきつくなってごめん」と謝っても、家事の負担は変わらないまま。傷ついた言葉については触れずに、いつもの生活へ戻っていく。そんな仲直りが続けば、同じことでまたぶつかることもあるでしょう。
その場が収まったかだけでなく、二人が困っていたことに戻れたか。喧嘩のあとには、そこも確かめたいと思います。
「もういいや」になる前に、確かめたい三つのこと
伝えるたびに傷つく経験が重なると、「わかってほしい」という気持ちが、「もう傷つきたくない」に変わることもあります。
その流れについては、夫婦の会話がない…業務連絡だけになっていませんか?でも綴っています。
今回は、まだ話そうと思えるときに、二人で確かめたいことを考えてみましょう。
1.言い合いの前に、何に困っていたのか
喧嘩になると、「あの言い方はひどい」「そっちだって」と、言い合いそのものが話題になりがちです。
少し落ち着いて、お互いに話せるときに、「そもそも何に困っていたんだろう」と戻ってみます。
たとえば、「夕食後の片づけと寝かしつけが重なって、一人では休む時間がない」。まずは一つ、具体的な困りごとを共有するところからでもかまいません。
2.相手の気持ちを、わかったつもりになっていないか
「最近は何も言わないから、もう気にしていないはず」と思っていたら、一度確かめてみてもいいかもしれません。
「この前のこと、私は終わったつもりでいたけれど、まだ困っていることはある?」
「今すぐじゃなくてもいいから、話せそうなときに聞かせてほしい」
そう聞いたあとに返ってくる言葉を、すぐに否定したり、説明で遮ったりしないことも大切です。自分の受け止め方とは違う答えが返ってくることもあるでしょう。
相手が「今は話したくない」と言ったときは、返事を急がせないこと。それも、話せる関係を考える一部だと思います。
3.次にどうするか、小さな約束にできるか
「これからは気をつける」だけだと、何が変わったのかがお互いにわかりにくいことがあります。
たとえば、「平日の食器洗いは引き受ける」「難しい日は夕食前に相談する」「一週間やってみて、負担がどうだったか話す」。二人が実際にできそうなことを、一つ決めてみます。
話を聞いてもらえたことと、暮らしの中で変化があったこと。その両方を積み重ねていくことが、次も話してみようと思えるきっかけになるかもしれません。
熟年離婚の「突然」は、二人で違うことがある
長年一緒に暮らした夫婦が別れを選ぶとき、一方にとっては「突然言われた」ことでも、もう一方にとっては、長く考えてきた末の言葉ということがあります。
何度も伝えたつもりだった。変わることを待っていた。でも、いつの間にか、これからの暮らしを一人で考えるようになっていた。
もちろん、熟年離婚にはさまざまな事情があり、すべてを喧嘩や会話の不足で説明することはできません。
ただ、別れの言葉を口にした日が、気持ちが離れ始めた日とは限らないということは、心に留めておきたいと思います。
だからこそ、離婚の話が出てから初めて向き合うのではなく、日々の「つらい」「困っている」を、その都度大切に扱っていけたらと思うのです。
「喧嘩できるうちが華」を、我慢する理由にしない
ここまで読んで、「では、私がもっと上手に話さなければ」と思った方もいるかもしれません。
でも、話し合いは、一人だけで成立するものではありません。伝える側だけでなく、聞く側にも、相手の困りごとを受け止め、一緒に考える姿勢が必要です。
疲れ切っているときには、話し合いを急がず、まず休むことや、誰かに聞いてもらうことからでもかまいません。歩み寄ることに疲れたときには、夫婦の価値観の違いに疲れたら|歩み寄る前に大切にしたいことも読んでみてください。
また、暴力や脅しがあり、安心して話せない場合は、二人だけでの話し合いを無理に進めず、ご自身の安全を優先してください。
まとめ|喧嘩の回数より、喧嘩のあとを見つめる
「喧嘩できるうちが華」という言葉を、傷つく喧嘩に耐える理由にはしたくありません。
大切にしたいのは、喧嘩が多いか少ないかだけでなく、困っていることを安心して話せるか、話したあとに二人で考え直せるかということです。
何も言われなくなったから、大丈夫。仲直りしたから、もう終わり。そう決めつける前に、「あのときの困りごとは、今どうなっているだろう」と振り返ってみる。
「もういいや」と気持ちを閉じてしまう前に、傷つけ合う喧嘩から、話し合える関係へ。そのための小さな一歩を、二人で考えていけたらと思います。
「話すたびに喧嘩になってしまう」「仲直りしても、同じことを繰り返してしまう」。そんなときは、ごきげん家族ラボで、今のお気持ちやこれからの関わり方を一緒に整理してみませんか。お一人でもご相談いただけます。